基本的な相続のこと② 遺留分および遺留分減殺請求とは
遺留分および遺留分減殺請求とは
ここでは、相続の基本的な知識として、遺留分と遺留分減殺請求についてご説明します。
■ 遺留分とは
「遺留分」とは、相続人に法律上保障された一定割合の相続財産のことをいいます。
相続人のうち一人だけに遺産を相続させないといったケースがあり、このような場合、法律は法定相続人が一定の相続財産を相続できる権利を保障しています。
■ 遺留分減殺請求とは
「遺留分減殺請求」とは、遺留分を侵害されている相続人が、遺留分を侵害している他の相続人や第三者に対して、その侵害額の支払を請求することをいいます。
例えば、被相続人が残した遺言書に「相続財産は全てAさんへ相続させる」と書かれていたとします。この「Aさん」が、他の相続人であっても通常は不満ですが、もし全く赤の他人であれば、相続人は愕然としてしまうでしょう。
実は、こういったケースは少なくありません。
遺留分は、法定相続人に当たる人が相続財産を全くもらえず、生活が困難になってしまうことを防ぐためなどの目的を持つ制度です。 この「遺留分」を行使することを「遺留分減殺請求」といいます。
■ 遺留分の一定割合
直系尊属(例えば両親)のみが相続人の場合は、相続財産の3分の1 それ以外の場合は、相続財産の2分の1 兄弟姉妹に、遺留分はありません。
■ 遺留分減殺請求の注意点
- 「遺留分」は、侵害されている相続人ご本人が1年以内に減殺請求の意思表示をしなければ、時効によって消滅してしまいますのでご注意ください。
- 遺留分減殺請求は、相手方に対する意思表示をもってすれば足りますが、家庭裁判所に調停を申し立てただけでは、相手方に対する意思表示とはなりません。
- 調停の申立てとは別に、内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。なお、遺言書に、遺言執行者が記載されている場合は、遺言執行者にも減殺請求権を行使する旨を知らせておくべきでしょう。
- 遺留分減殺請求の意思表示を行った後は、相手方との協議交渉により、遺留分の返還をしてもらうことになります。
- 相手方に遺留分の返還に応じてもらえない場合は、家庭裁判所で話し合う「調停」、それでもまとまらない場合には、裁判を起こす「訴訟」という方法をとらなければなりません。
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