死亡退職金は相続財産に含まれないが相続税の対象?特別受益に当たる場合とは?
よくあるご質問⑫
「勤め人の配偶者が在職中に亡くなってしまいました。受給した死亡退職金は相続財産に含まれるのでしょうか?また、特別受益にあたるのでしょうか?」
【弁護士の回答】
受給権者(受取人)の指定の有無によって、死亡退職金が相続財産に含まれるか否かが分かれます。
故人が勤め人の場合、死亡退職金の支給規定は勤務先の就業規則などに定められているでしょう。
仮に「受給権者(受取人)は妻の○○とする」といったように明確に指定していた場合、その妻は相続人としてではなく、受給権者の固有の財産として死亡退職金を受け取ることとなります。
したがって、相続財産には含まれません。
死亡退職金は、遺族の生活保障を目的としていることから、受給権者を事実婚のパートナー(法律上の婚姻関係にない相手)と指定する事例もあります。このように法定相続人以外の人が遺族として受け取るケースもあるため、相続財産には含まれないと考えられています。
■ 特別受益に該当する場合もある
死亡退職金は相続財産には含まれませんが、特別受益に該当すると判断された事例もあります。
- 生命保険金に近いもの→特別受益に当たらない
- 賃金の後払いのような性質を持っている→遺産に似ている→特別受益に当たる
事例によって解釈はさまざまです。
■ 相続税の対象になるので注意
死亡退職金の他、退職手当金や功労金その他これらに準ずる給与を、法律上「退職手当金等」といいます。
退職手当金等を遺族が受け取る場合、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定されたものは、相続財産とみなされ、相続税の対象となります。
ただし、相続税の対象となる退職手当金等は全額ではありません。
「500万円×法定相続人の数までは非課税」とされており、相続放棄した人も法定相続人の数に含まれます。
例)法定相続人の数が妻+子ども2人の場合
500万円×3人=1500万円 までは相続税がかかりません。
税金に関する詳細は国税庁のホームページに記載されていので、ご参照ください。
〖参考〗国税庁HP「相続税の課税対象になる死亡退職金」
「相続財産に含まれるか」「特別受益に当たるか、」といったことで、相続人間で揉めている場合は、弁護士やまケンまでお気軽にご相談ください。
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