被相続人の預貯金が下ろせない!?遺産分割前に相続分を払戻すには?
よくあるご質問⑩
「配偶者の死亡に伴い、当面の生活費として預金を下ろそうとしたら、通帳も印鑑もあるのに、銀行に応じてもらえませんでした。払戻しを受けるにはどうすればよいのでしょうか?」
【弁護士の回答】
金融機関は、被相続人が死亡した事実を知った時点で、被相続人名義の預貯金口座を閉鎖・凍結します。
閉鎖・凍結されることにより、故人の配偶者であっても、以後、遺産分割が終了するまでの間は単独で預貯金の入出金や口座引落しができなくなります。これは、故人の相続財産を保全し、相続人間のトラブルを未然に防ぐためです。
預貯金の払戻しを受けるためには、少なくとも次に掲げる書類をそろえる必要があります。
- 払戻依頼書(相続人全員の署名および実印の押印のあるもの)
- 法定相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の除籍謄本
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 法定相続人全員の戸籍謄本
など
■ 民法等改正による預貯金払戻し制度
原則としては、上記に掲げたとおり、書類をそろえて金融機関に提出する必要があるのですが、民法等の改正(2019年7月1日施行)により、遺産分割前に相続分の預貯金の一部払戻しができるようになりました。
家庭裁判所の判断を経ることなく、単独で、金融機関の窓口で預貯金の払戻しを受けるためには、以下の条件があります。
- 預貯金の一定割合:相続開始時の預貯金額×1/3×払戻し請求を行う相続人の法定相続分
- 払戻し限度額:1つの銀行につき150万円まで
この場合にも、おおむね次のような必要書類をそろえる必要があります。
- 被相続人の除籍謄本
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 印鑑証明書(払戻しを希望される方のもの)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
※金融機関によって必要書類が異なる場合があるので、詳しくはお取引金融機関にお問合せください。
〖参考〗全国銀行協会HP「遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ」
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